Kyoto Social Problem vol.7 【車椅子アメフト】糸賀亨弥

「どんな人でもできるスポーツを」


KYOTO Social Problem.
たくさんのスポーツイベントを経験した自分たちが聞いてみたいこと。
スポーツが持つ価値や考え方は、現代社会への役に立つのだろうか?
今ある社会課題について、京都の企業・個人に聞いていきます。


あなたの能力を活かせる場所はどこですか?

今回のゲストは

天理大学アメリカンフットボール部ゼネラルマネージャー

Wheelchair Football Japan(車椅子アメフト)代表理事

糸賀亨弥さん

2007年9月

天理大学アメリカンフットボール部の監督を務めていた時

試合中に選手が頸椎損傷のケガを負い、一生車椅子で生活する体になってしまった。

その時、ケガを負った選手が「アメフトに戻ってくる」と言ってくれ、

どうやったらその選手にアメフトをさせてあげられるだろうかと考えた。

糸賀さんの写真1

「この翌年に、たまたま、車いすバスケットボールの大会を見た時に、ただただ圧倒された。

障がいを持った方々は、あまり動くことができないと勝手に思い込んでいたが、

目の前でこんなにも激しいスポーツをしていることに感動したし、

観客席にいた、車椅子の子供達も食い入るように試合を見いて、

『スポーツってみんなが興味を持っていて、

みんなやりたいと思ってるんじゃないかな』と思い、

『アメフトで、誰もがスポーツをできる機会を作ろう』と決意した。」

「また、ケガをした選手の父親とお話をした時に

『息子はすごくスポーツが好きで、小さい頃から彼が野球をしている姿を見てきた。

ただ、アメフトをやっている姿だけは見たことがなくて、すごく残念なんです。』

その言葉が、自分の中に残っていて、

なにがなんでも再びアメフトができるようにしてあげたいと思った。」

―社会に与えている価値とはなんでしょうか?

「障がいに対する偏見や固定観念を崩すきっかけになっていること。

障がいを持った方々の中にも、健常者と同等な能力を発揮できる人がいて、

そのような人のことを世の中の人々に知ってもらう機会を

Wheelchair Football Japanは提供していると思っている。」

「活動に興味本位で来てくれた人が、実際に車椅子の人とホイールチェアーフットボールを

体験して、一緒に考えることによって、体験が終わる頃には障がいへの考え方が柔らかくなっている。

そして、みんなと友達になって帰っていく。

自分と違う人の存在を認めてくれている。

このような、初めて来てくれた人の世界観をちょっとだけでも広げていく、機会作りになっている。」

糸賀さんの写真2

―活動の中で印象に残っていることはなんですか?

「一度、ホイールチェアーフットボールの体験会に盲ろう者の方が参加したことがあった。

その時、会場にいた誰もが、目も見えなくて耳も聞こえない状態では

できないだろうと思っていたが、みんなで工夫して、協力しあうことで

盲ろうの方にもプレーをしてもらうことができた。

『人間の時間には限界があるけど、可能性は無限にある』

『自ら前に進みたい・楽しみたい・チャレンジしたいという気持ちがある人であれば、

どんな状態の人でもホイールチェアーフットボールをできる』

いろんな出会いがあって、いろんな発見があることが無限に続いていることが

最も印象に残っている。」

―活動が糸賀さんにもたらした価値はなんですか?

「幼少の頃から、重度の障害を持った方と接する機会が多く

しんどそうとか、苦労しているとか、金持ちになれないだろうとか

ネガティブなイメージを持っていたけど、

この活動を始めていろんな人に出会う中で、そのイメージは違うと気付いた。

こんなにも、いろんな能力を持った人たちを見つけたい、活かせる場所を作りたい。

ひょっとしたら、もっとすごい能力を持った人が隠れていて、

そんな人が日本や世界を変えていけるんじゃないかと思うようになった。」

「子供やお年寄り、障がいのある人にとって使いやすいものや暮らしやすさは

他の人々にとっても便利で暮らしやすい社会なんだと思う。

障がいがあろうがなかろうが、世の中にはいろんな人がいて

できる人できない人がいる。

もっと働きやすい場所を作ったり、生きやすい生き方をすればいい。

なんでもできる人に基準を合わせなくていい。

誰も肩肘張らずに、過ごせる社会を作っていくことが世の中にとって

いいことなんじゃないかな。」

―最後に、これを読んでいる人に伝えたいことはありますか?

楽しむこと!

自分の楽しいことをやること。

私にとって楽しいことは、みんなが笑顔になっているところを見ること。

イベントをやったりした時に、いろんな出会いや発見の中で

参加者や関係者が笑顔になっているのを見るのが楽しい。

『出会い+発見=笑顔』」

糸賀さんの写真3


普通に考えたらスポーツをすることが難しい人たちに

スポーツをする機会をつくる。

自分の能力を自分で発見することができるかもしれない。

そんな場所をつくりだした活動。

お互いに足りないところを認め合えることで、

誰もが背伸びせず、自分らしい生き方ができる社会を作ることができるのかもしれません。


団体名 Wheelchair Football Japan


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