日常で気づくカラダの使い方

「蹴らない歩き方」

世の中には様々な健康に関する情報があふれています。

カラダを動かすことについても、体幹トレーニングやウォーキング法などの話題を毎日のように目にします。カラダ使いについては様々な理論や価値観があり、それぞれに得るべきものはありますが、ここでは武術家としての立場から、日常的な動きの中で、より無駄のない動きを身に付けるヒントを紹介したいと思います。

今回のテーマは「歩く」ということ。

先ほど書いた通り、歩き方については「ウォーキング」というキーワードが一般的で、その主な目的は下半身の筋力強化や、カロリー消費ということになるでしょう。しかしそういうことが必要のない人にとっても、歩き方の質が変われば、身体に様々なメリットが生まれるのです。

武術の世界では、足を運ぶ際に

「床や地面を蹴らない」

ということが求められます。

これは気配を出さず、瞬時に柔らかく動く為に必要なカラダ使いなのですが、一般的な健康法やスポーツ的な考えに基づく歩き方とは、ある意味正反対のやり方と言えます。

この「蹴らない歩き方」には

・「疲れにくい」

・「転びにくい」

・「瞬時に止まれる」

・「階段の昇降が楽になる」

など日常生活での様々な効果があります。膝や股関節などに不安のある方にも優しい、言わばカラダを護る為の歩き方なのです。

それではここから「蹴らない歩き方」について、具体的なポイントを書いていくことにします。

 

まず不可欠なことは「常に膝を少しだけ緩めておく」ということ。

膝を曲げるのではなく、膝関節にほんの少しだけ「アソビ」を作っておく感覚です。次に、歩き初めの一歩を踏み出す際に、まず両膝を更に緩めつつ、同時に片方の足を少しだけ浮かせるようにします。すると自動的に前に進む流れが生まれますので、あとは膝に柔らかさを保ちながら、交互に足を出していくだけです。

柔らかく歩き続けるにはちょっとしたイメージが必要です。平地を歩く際にも、「少しずつ降りていく」という感覚を持つのです。私が開催している身体操作の講座では、「1~2センチ程度の小さな段差を一段ずつ降りていく」というイメージで足を運ぶようにと説明していますが、自分にとって最も柔らかく足を運べるイメージの仕方を探ることも、歩き方を変える上では重要になります。歩きながら足の裏に地面を蹴った感触が残らないように意識していけば、だんだん自分なりの歩き方が分かってくるでしょう。

この歩き方では、足が大きく上がらず、いわゆる「すり足」に近い状態になってきますので、「つまずいて転び易くなるのでは?」という疑問を持たれるかもしれません。確かに足元にあるちょっとした突起などに引っかかり易くなるかも知れませんが、そのような場合にも意外な程ぐらつくこともなく、引っかかったところを流すようにして、同じ調子で歩き続けることができるのです。これは膝を緩めていることで、カラダが常に真下に沈み続け、つまずいた時にも上体が前後方向に傾くことが少なくなるからです。

蹴らない歩き方の特徴として、手の振りが小さくなるということが挙げられます。一般的には、大きく手を振って歩くのが良いとされていますが、地面を蹴る歩き方では体のバランスが崩れる為、自然と手の振りが生まれてしまうのであって、ある意味で非効率な動きであると言えるでしょう。

歩き方のヒントはまだまだ沢山ありますが、また別の機会に紹介できればと思います。

ぜひ日常の歩き方を見直して、常識に囚われない新たなカラダ使いを発見して下さい。

kanban02

文:石田泰史(武術操身法・遊武会主宰)

遊武会URL:http://homepage2.nifty.com/ubk/


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fstylemagazine編集長

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